デジタルノギスの「B」マークが消えない原因とは?新品電池でも表示される理由を解説

デジタルノギスに「B」のマークが表示されたので新品の電池に交換したのに、なぜか消えない。
これは意外と混乱しやすい症状です。
実はこれ、電池の「種類」が原因かもしれません。
この記事では、新品の電池に交換してもデジタルノギスに「B」が表示される原因と、その解決策について解説します。
目次
左上の「B」は何を意味するのか
まず、多くのデジタルノギスで「B」は電池電圧低下の警告表示として使われています。ミツトヨの取扱説明書でも、「”B”表示」「”Err–b”表示」は電池の電圧が低下した状態を示し、直ちに電池交換するよう案内されています。
※「B」は完全に動かなくなった後に出る表示ではありません。液晶(LCD)表示が生きていても、メーカーとしては「交換時期です」と判断している段階です。カノンのデジタルノギスの説明書でも同様に、電池電圧低下の表示として説明されています。

もしかして、LR電池を使っていませんか?
新品電池に替えても「B」が消えないとき、真っ先に確認したいことがあります。
それは電池の種類が「SR44」ではなく「LR44」を使っていないかということです。
LR44とSR44はサイズがほぼ同じのため互換品のように扱われがちですが、電池としての性質は同じではありません。
| 項目 | LR44 | SR44 |
|---|---|---|
| 種類 | アルカリ | 酸化銀 |
| 公称電圧 | 1.5V | 1.55V |
| 容量(参考) | 120mAh | 165mAh |
| 放電特性 | 電圧変動あり | 安定 |
| ノギス指定 | 非推奨 | 推奨 |
<なぜ差が生まれるのか>
ノギスが見ているのは「新品か否か」ではなく、動作中に必要な電圧が保てるかです。実際の動作中は負荷がかかるため、電圧は無負荷時より低下します(負荷時電圧)。
LR44とSR44の公称電圧の差はわずか0.05Vですが、SR44は放電時の動作電圧が安定しているのに対し、LR44はこの条件下で「低電圧側」に寄りやすい特性があります。精密機器であるデジタルノギスはこのわずかな差を「バッテリーが減っている状態(電圧不足)」と判断するため、新品のLR44に交換してもBマークが消えないのです。
LR44では消えず、SR44で消えた
筆者が所持しているミツトヨのデジタルノギス「CD-20B(コードNo. 500-124)」での体験です。
いつの間にかB表示が出ていたため、手元にあったLR44に交換しました。しかし、液晶表示は出て測定もできているにもかかわらず、B表示は残ったまま。「新品なのに、なぜ?」となります。
そこで、説明書の指定通りSR44を入手し、実際に交換してみました。


電池を入れ替えて電源を入れると

B表示が消えました。それだけでなく、ディスプレイの数字もくっきりと濃く見えるようになり、表示の見やすさも改善されたのです。
この体験は説明書や電池メーカーの情報とも一致しています。「新品電池なのにBが消えない」のではなく、「LR44では機器の前提条件を満たせていなかった」と考えると理解しやすいです。
<ミツトヨの説明書では何と書かれているのか>
手元にノギスの取扱説明書があれば、ぜひ確認してみてください。使用する電池の種類が記載されているはずです。
私のミツトヨのデジタルノギス「CD-20B(コードNo. 500-124)」の取扱説明書には、「電池は必ずSR44(G13)をご使用ください」と明記されていました。

<電池の種類以外にも確認したいこと>
※機種によっては電池交換後にORIGIN(原点)設定が必要です。機種ごとの説明書に従って確認してください。ただしすべての機種にORIGINボタンがあるわけではありません。
※CR2032などのコイン電池を使うデジタルノギスも存在します。「デジタルノギス=全部SR44」ではありません。必ず手元のノギスの説明書にある電池表記を確認してください。
「B」表示が出たまま使い続けてもいいのか?
結論から言うと、「まだ測れているから大丈夫」と考えて使い続けるのはあまりおすすめできません。
たしかに、LR電池でも「一応使える」ことは使えますが、そのまま使い続けると以下のような不安が残ります。
- 表示が薄くなる
- 早く電池が切れる
- 測定結果の信頼性が気になる
測定できているように見えても、指定された電池に交換するのが最も無難かつ確実な対処法です。そのため、警告を放置するより、適正な電池に替えたほうが安心できます。
<デジタルノギスには「SR44」がおすすめな理由>
指定電池としてSR電池(酸化銀電池)を推奨するのには明確な理由があります。
LR電池(アルカリボタン電池)と比べて、SR電池は電圧が非常に安定しているため、圧倒的に長持ちします。さらに、ディスプレイに表示される数値のコントラストが濃くなり、格段に見やすくなるというメリットもあります。
SR電池はLR電池に比べて価格が高いのが難点ですが、精密測定における「数値の信頼性」と「電池交換の手間が減る」ことを考えれば、価格以上のメリットがあると言えるでしょう。
適正な電池に交換しても警告が消えないときは?
SR44電池に交換してもディスプレイの「B」表示が消えない場合、電池そのもの以外の原因も考えられます。
電池の種類が正しくても、電気がうまく流れていなければ警告は消えません。まずは以下の3つの可能性を疑ってみましょう。
- 電池端子の接触不良
電池自体が正常でも、接触状態が悪いと抵抗となって電圧が不安定になり「B表示」が出る可能性があります。 - 購入した電池自体の初期不良・劣化
まれに、新品の電池でも長期間の保管等により劣化している場合があります。 - ノギス本体の故障
上記を確認しても改善しない場合、本体側の不具合(内部の断線や基板の故障など)が考えられます。この場合は、メーカーに修理や点検を依頼してください。
どうしても解決しない場合は、無理に分解せず、メーカーへの問い合わせを検討してみるのが確実です。
デジタルノギスは精度の高い測定が求められる器具です。正しい電池を使用して、いつでも正確な測定を行えるようにしましょう。
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