SFC シャイニングスコーピオン レース画面の見方と各コース・セクション解説
シャイスコのレース画面には、順位や進行状況を示す情報が集約されています。この記事では、ゲーム開始前に表示される全体図と実際の走行時の違い、画面上部インターフェースの役割、各コースの場面数や走行カウンタ、セクション構成について解説します。
ゲームコースレイアウトと実際の走行の違い
このゲームをプレイしていて、コースの形状が公式のレイアウト図と異なっていることに気付いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、ゲーム内に登場するコースは、必ずしもレイアウト図の通りに設計されているわけではないようです。
例えば「クリームパンコース」では、スタート直後(レーンチェンジの後)に左コーナーがあります。しかし、レイアウト図を見ると、その場所は本来S字カーブになっているんですよね。


このように、レイアウト図とゲーム内のコースは厳密には一致していません。
この違いがゲームバランス調整のためなのか、プログラム上の都合によるものなのか、その理由は不明です。
レース画面上部インターフェースの見方
赤い点

レース画面上部にある赤い点は、レース全体の進捗状況を示すもので、現在位置を表しています。スタート地点の「S」からゴール地点の「G」に向かって、レースの進行に合わせて左から右へと移動します。画面の切り替えが行われない直線コースなどでは、仕様により赤い点はスタート地点から動きません。
この赤い点の進捗表示は、単に走行距離や時間と比例して動いているのではなく、コース全体の構造とマシンの進行度を同期させる仕組みによって制御されています。
レースが開始される直前、プログラムはまず、選択されたコースがどのような構造になっているかを分析します。コースデータから、いわゆる「場面(シーン)」が全部でいくつあるかという「最大場面数」を読み込むのです。
次に、この「最大場面数」を元に、SNES本体が持つハードウェア除算器を用いて (最大場面数 – 2) ÷ 8 という計算(小数点以下は切り捨て)を行い、そのコースにおける進捗バーの「総ステップ数」を算出します。この計算結果こそが、レース中に赤い点が全部で何回動くかを決定するパラメータとなります。
実際のレースが始まると、プログラムはマシンが通過した「場面」の数を常にカウントしています。そして、この現在の場面数を、先ほど計算した「総ステップ数」で割り算することで、トップにいるマシンがコース全体のどのあたりにいるのかという進捗度(パーセンテージ)を算出します。最終的に、この進捗度を画面上のX座標に変換することで、赤い点の表示位置が決定されます。
- ゲームセンターコース
「最大場面数」が62あるので、計算結果の「総ステップ数」は7です。というわけで、7つ場面進むたびに赤い点が移動します。 - ストレートコース
「最大場面数」が3と極端に少ないため、計算結果の「総ステップ数」は0となります。総ステップ数が0であるため、除算が実行できず、進行度の更新処理は一度も行われません。これが、直線コースでは赤い点がスタート地点から一切動かないという仕様の、プログラム的な真相です。
キャラスプライト
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テクテクと走るキャラクターたちは現在の順位を示しています。1位は1番右側に表示され、右側にいるほど上位になります。
この順位表示は、ゲームの内部でリアルタイムに計算されている各マシンの「走行カウンター」に基づいています。SA-1コアプロセッサが、全マシンのコース上の位置を計算・比較し、その結果から得られるリアルタイムの順位リストを作成していきます。
メインの描画プログラムは、毎フレーム(1/60秒ごと)この順位リストを参照し、各キャラクターの画面上の目標X座標を決定。そして、キャラクターがスムーズに入れ替わるアニメーションを実現するために、現在の座標から目標の座標へ少しずつ移動させる補間処理を行い、最終的な位置を決定しています。
コースアウトや周回遅れリタイヤしたマシンがいると、この順位リストから除外されるため、対応するキャラクターが画面上から消えます。
余談ですが、私が当時小学生でこのゲームをプレイしていた際、佐上カップレースにジュンちゃんが出場していたような記憶が・・・気のせいでしょうか。
ROM内にはジュンのグラフィックデータも残っているため、今度詳しく調べてみようと思います。
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あーもしかしたら、この女の子をジュンちゃんだと思っていたのかも。服も同じ黄色だし。
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各コースの特徴とセクション構成
クリームパンコース
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| コース名(ID) | クリームパンコース(00 / 04) |
|---|---|
| LAP表示(周回) | あり |
| 最大場面数 | 27 |
| レースのステップ数 | 3 |
| 総走行カウンタ | 565 |
| セクション構成 | |
クリームパンコースは、1周が5つのセクションで構成されており、レースは5周+ゴールセクションで行われます。場面番号は0からスタートし、27で終了します。
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ストレートコース
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| コース名(ID) | ストレートコース(01 / 0A / 0D /10) |
|---|---|
| LAP表示(周回) | なし |
| 最大場面数 | 3 |
| レースのステップ数 | 0 |
| 総走行カウンタ | 45 |
| セクション構成 | |
ストレートコースは、その名の通り直線のみで構成された最もシンプルなコースです。場面番号は0からスタートし、3で終了します。
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藤吉のゲームセンターコース
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| コース名(ID) | 藤吉のゲームセンターコース(02) |
|---|---|
| LAP表示(周回) | あり |
| 最大場面数 | 62 ※1 |
| レースのステップ数 | 7 |
| 総走行カウンタ | 1414 |
| セクション構成 | |
| ゲームセンターコースは、1周11セクションを基本とする、5周で構成されたテクニカルなサーキットです。最大の特徴は、周回ごとに一部のセクションが変化するのが特徴です。具体的には、奇数周(1, 3, 5周目)ではレーンチェンジの前に連続コーナーですが、偶数周(2, 4周目)においてはレーンチェンジの前はストレートになっています。
※1 このコースの最大場面数は「62」に設定されていますが、実際に走行すると57場面でレースが終了します。
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スプリングレース予選コース
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| コース名(ID) | スプリングレース予選コース(03) |
|---|---|
| LAP表示(周回) | あり |
| 最大場面数 | 62 |
| レースのステップ数 | 7 |
| 総走行カウンタ | 1265 |
| セクション構成 | |
このコースは、立体交差を多用した8の字状のレイアウトが特徴的なコースです。1周12セクションで構成されており、レースは5周で行われます。場面番号は0からスタートし、62で終了します。なお、このコースには多数のコーナーが存在しますが、実はコースアウト判定が設定されていません。コースアウトが発生する可能性があるのは、アップヒル(登り坂)とダウンヒル(下り坂)のセクションのみです。ややコースアウトしにくいコースです。
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スプリングレース決勝コース
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| コース名(ID) | スプリングレース決勝コース(05) |
|---|---|
| LAP表示(周回) | あり |
| 最大場面数 | 62 |
| レースのステップ数 | 7 |
| 総走行カウンタ | 926 |
| セクション構成 | |
砂地セクションのあるテクニカルなコース。1周12セクションで構成されており、レースは5周で行われます。場面番号は0からスタートし、62で終了します。
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特設野試合バトルコース
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| コース名(ID) | 特設野試合バトルコース(06) |
|---|---|
| LAP表示(周回) | あり |
| 最大場面数 | 77 |
| レースのステップ数 | 9 |
| 総走行カウンタ | 1695 |
| セクション構成 | |
ストーリーモードでは一度だけ走行することになる、1周15セクションの長い特設コースです。ストレート、コーナー、アップダウンがバランス良く配置されています。場面番号は0からスタートし、77で終了します。
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ジェットコースターコース
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| コース名(ID) | ジェットコースターコース(07 / 0E) |
|---|---|
| LAP表示(周回) | あり |
| 最大場面数 | 42 |
| レースのステップ数 | 5 |
| 総走行カウンタ | 766 |
| セクション構成 | |
アップダウンとバンクが連続する、その名の通りジェットコースターのようなレイアウトを持つコースです。1周あたりのコーナー数はクリームパンコースと同じ3回ですが、連続コーナーがないため、体感的にコースアウトしにくい印象を受けます。また、コースの大きな特徴であるバンクセクションですが、ここにはコースアウト判定が設定されていません。1周8セクションで構成されており、レースは5周で行われます。場面番号は0からスタートし、42で終了します。
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サマーレース決勝コース
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| コース名(ID) | サマーレース決勝コース(08) |
|---|---|
| LAP表示(周回) | なし |
| 最大場面数 | 59 |
| レースのステップ数 | 7 |
| 総走行カウンタ | 743 |
| セクション構成 | |
周回のない一本道のロングコース。序盤はストレートとコーナー、中盤には長いストレート区間、そして終盤はテクニカルなヘアピンコーナーが連続するレイアウトが特徴です。場面番号は0からスタートし、59で終了します。
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鍾乳洞コース
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| コース名(ID) | 鍾乳洞コース(09) |
|---|---|
| LAP表示(周回) | あり |
| 最大場面数 | 57 |
| レースのステップ数 | 6 |
| 総走行カウンタ | 865 |
| セクション構成 | |
ジャンプ台と多数のコーナーが配置された、極めてテクニカルなコース。コースアウトの危険性が非常に高く、完走するにはマシンセッティングによる十分な対策が不可欠。ストーリーモードではイベントシーンでの登場のみとなり、実質的にフリーバトル専用のコースとなっています。構成は1周11セクション、レースは5周で行われます。場面番号は0からスタートし、57で終了します。
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オータムレース決勝コース
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| コース名(ID) | オータムレース決勝コース(0B) |
|---|---|
| LAP表示(周回) | あり |
| 最大場面数 | 67 |
| レースのステップ数 | 8 |
| 総走行カウンタ | 790 |
| セクション構成 | |
秋のレースでありながら、冬を彷彿とさせる滑りやすい氷上セクションが大部分を占めるコース。構成は1周13セクション、レースは5周で行われます。場面番号は0からスタートし、67で終了します。
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クリームパンコース(直線コース追加ver)
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| コース名(ID) | クリームパンコース(直線コース追加ver)(0C) |
|---|---|
| LAP表示(周回) | あり |
| 最大場面数 | 37 |
| レースのステップ数 | 4 |
| 総走行カウンタ | 610 |
| セクション構成 | |
通常のクリームパンコースをベースに、各周回のコーナー前後にストレートセクションが追加され、全長が10場面長くなっています。このコースはフリーバトルでは選択できず、S・Gシティの模型店でのみ走行可能です。構成は1周7セクション、レースは5周で行われます。場面番号は0からスタートし、37で終了します。
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トンネルコース
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| コース名(ID) | トンネルコース(11) |
|---|---|
| LAP表示(周回) | あり |
| 最大場面数 | 77 |
| レースのステップ数 | 9 |
| 総走行カウンタ | 1455 |
| セクション構成 | |
空風村の共通予選で走行することになる、トンネルと滑りやすいオイルセクションが特徴的なコース。構成は1周15セクション、レースは5周で行われ、見た目に反して全長77場面と非常に長いのも特徴です。
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スーパーグレートジャパンカップコース
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| コース名(ID) | スーパーグレートジャパンカップコース(0F) |
|---|---|
| LAP表示(周回) | なし |
| 最大場面数 | 64 |
| レースのステップ数 | 7 |
| 総走行カウンタ | 1064 |
| セクション構成 | |
本作の最終レースにふさわしい、まさに今までの集大成と言える複合ロングコース。周回のない一本道のレイアウトには、スプリング、サマー、オータムの各季節レースや共通予選のトンネルコースで登場した、芝生、氷上、オイルといった特徴的なセクションがすべて盛り込まれており(なぜか砂地がない)、マシンセッティングの総合力が試されます。場面番号は0からスタートし、64で終了します。
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【コラム】ゲームセンター藤吉コースに隠された謎
各コースの最大場面数を調査していく中で、一つだけ非常に興味深い、例外的な挙動を示すコースが存在します。それが「ゲームセンターコース」です。
■ 観測された事実
このコースでは、以下のような矛盾が確認されています。
データテーブルに設定されている「最大場面数」は 62 です。これは、スプリングレース予選・決勝コースと同じ値です。しかし、実際にこのコースを走行し、場面が切り替わる回数をカウントすると、その数は 57 回でレースが終了します。
他のすべてのコースでは設定値と実測値が一致しているにもかかわらず、なぜこのコースだけが5場面ものズレを抱えているのでしょうか。
■ 考察 なぜズレは生まれたのか?
これは、バグというよりも「開発過程で生じた仕様変更の名残」である可能性が極めて高いと考えられます。
ゲーム開発において、コースレイアウトは何度も調整が繰り返されます。おそらく、「ゲームセンターコース」も、以下のような経緯を辿ったのではないでしょうか。
当初、このコースはスプリングレース予選などと同じく、全長62場面のレイアウトで設計されました。そして、その値が各種パラメータテーブルに設定。しかし、テストプレイを重ねる中で、ストーリーモード序盤でのコースアウトが多いと判断。ゲームバランスを調整するために、コースの一部が短縮・削除され実際の場面数は57に変更。
本来であれば、このレイアウト変更に合わせて、最大場面数を管理するデータテーブルの値も57に修正されるべきでした。しかし、何らかの理由(修正箇所の見落とし、スケジュールの都合など)で、このパラメータだけが初期設定の62のまま残ってしまったのです。
幸い、このズレはレースの進行自体に致命的な影響を与えない(57場面目で正常にゴール判定が行われる)ため、製品版まで修正されずに残ったのでしょう。
この「藤吉のゲームセンターコース」の矛盾は、私たちにゲーム開発の舞台裏を垣間見せてくれる、非常に貴重な「開発の痕跡」と言えるかもしれません。
シャイスコモブセリフ集
※レース会場にいるモブキャラたちのセリフを集めてみたぞ
「予選を突破するぜ!!」
「予選を通過できるかなー」
「うおー
決勝大会だぜ!」
「あれれっ
車検場は どこだ?」
「げげげっ!
車検で しっかくしちゃったよー」
「よぉーし
燃えてきたぞ!」
「あー
ドキドキしてきた」
「はやく レースが始まんないかな」
「ボクの順番は まだかなー」
「次のレースは
オレの出番だぜ!!」
「うーん
このセッティングで
大丈夫かなー」
「よし!
かんぺきな セッティングだぞ」
「ローラーは
どこに しまったっけ?」
「難しそうな コースだなー」
「すっごいコースだなー
なんか やる気が出てきたぜ!」
「やったー
予選を通過したぜ!!」
「完走できたから
まぁ いいか」
「うぇーん
予選で負けちゃった・・・」
「くやしー
今日はダメだったけど
今度は がんばるぞ!!」
「ちくしょー
来年 また ちょうせんだ!」
「うおー
もっと ミニ四駆のことを
研究しなきゃ」
「あーぁ
コースアウトしちゃった」
「ぐすっ
完走できなかった」
「おかしいなー
セッティングを
まちがったかな?」
「うーん
このテクニカルコースには
小径タイヤかな」
「大径タイヤで
直線かっとびだ!!」
「ワンウェイホイールなら
連続カーブも安心だね」
「ダウンフォースを減らして
ストレート勝負だ!」
「トルクチューンと
レブチューン・・・
どっちにしようかなー」
「5:1ギヤーで
スタートダッシュするぞ」
「うーん
モーターとギヤー
どの組み合わせにしようかな」
「大径ローラーで
高速コーナリングだ」
「スタビライザーポールで
転倒防止だ!!」
「さてと
メンテナンスでもしてようかな」
「あっ
ファイターだ!
初めて見たぞ!」
「このコースは
コーナー重視だな・・・」
「このコースは
直線重視だな・・・」
「さっきのレース
すごかったなー」
「やっぱり
決勝大会は すごいぜ!」
「あ あのマシン速いなー」
「カッコイイなー あのマシン」
「あっ コースアウトしちゃった!」
「うおっ レースが見れない」














